素直の向こうがわ



秋の空は澄んでいる。
朝の空気はひんやりとして来て、確実に季節が変化して行くのを感じる。


11月も中旬になりすっかり秋も深まって、中庭でのお昼もそろそろ制服だけでは寒くなって来た。

中庭の大きな木から落ちて来る葉に、季節の移ろいを感じた。


「おまえ、頑張ってるじゃん。この前まで全然出来てなかった問題が、もう半分以上正解してる」


季節感を出すため作って来た栗ご飯を食べながら、河野が私の解いた問題集の採点をしてくれていた。


「そりゃあ、これだけ勉強してればね。中学の時のガリ勉魂が長い眠りからいよいよ目覚めたって感じ?」


少し得意になってそう言うと、「おせーよ」と問題集で軽く頭を叩かれた。

河野は、少し褒めたと思ったらすぐにこうやって落とす。飴と鞭の使い分けの達人かって言いたくなる。


「あ、悪い。今日、昼休みに少し生徒会室に顔出さなきゃならねーんだ。先行くな」


急いでお弁当を食べたかと思うと河野がそう言った。

『生徒会室』と聞いて反射的に『脇坂さん』を思い出す私の思考回路に時分自身で苦笑する。


「なに? その顔」


立ち上がった河野が身体を屈めて顔を覗き込んで来るから慌てて笑顔を作った。


「別になんでもない。そう言えば、そろそろ生徒会長の任期も終わるんだよね」

「そうなんだ。それで今、ちょっといろいろやることあってさ」

「じゃあ、頑張って」


私がそう手を振ると、数歩歩いてこちらを振り返った河野が何かを私に向かって投げて来た。