「姉ちゃん、料理上手なんだ。たか兄もびっくりするぞ」
渉君の言葉を聞いて、崇君は「じゃあ、よろしくお願いします」と素っ気ない態度で部屋を出て行った。
それにしても。
渉君と崇君を続けて見ると、まるで河野の成長過程を見ているようだ。
二人とも、ちゃんとどことなく河野に似ている。
この日は河野のお父さんは夕飯には間に合わなくて、河野三兄弟と私とで夕飯を食べた。
すっかり私と馴染んでくれている渉君はずっと私に喋りかけてくれて。そして、そんな私たちを、どこか優し気な目で見てくれる河野が傍にいてくれて本当に楽しい夕食で。
さっき感じた不安なんてすぐに忘れられた。
最初は私のことを胡散臭そうに見ていた崇君も、出来上がった料理を見て私の見る目が変わったようだ。
そこはお互い料理をやる者同士だからこそ分かり合えることで。
とりあえず私の見た目を変えたのが崇君に会う前で良かった。
河野以上に気難しそうだし。
それより何より、理由はともかく料理くらいはやっておいて本当に良かったと思う。
帰る頃には、崇君も打ち解けてくれて「ご飯作ってくれたおかげで、今日は楽できました」と感謝までされてしまった。
こうやって、また、河野の家族と仲良くなれて嬉しい。
「カノジョになったなら、もっと遊びに来いよ」と大人ぶる渉君の台詞に思わず笑ってしまった。
でも、玄関で笑顔で見送られて調子に乗って「また来るよ!」と答えたら河野が苦笑いしていた。



