二人で喜々として料理をする。
そんな私たちをちらりと見てから、河野はまた家事をこなすためかダイニングから出て行った。
そんなところに、もう一人帰って来た人がいた。
「あ、あの……」
家の中で勝手に料理している見ず知らずの女に驚いている。それも無理はない。
眼鏡を掛けた、河野を少し幼くしたような男の子。おそらく真ん中の弟君だ。
「あの、初めまして。私、河野君のクラスメイトで――」
「ああ、崇(たかし)お帰り。この人は松本って言って、俺の彼女。晩飯、渉と一緒に作ってくれてる」
どこからともなく戻って来た河野がそんなことをさらっと言った。
今、『彼女』って言ったよね? 聞き間違いじゃないよね?
突然押し寄せる感動に涙まで出そうになる。録音しておきたかったと本気で思う。
「はあ」
でも、そんなことを言われても崇君はどう反応して良いのやら困っているようだった。そして、少し不機嫌そうだ。
「ごめんね。台所使わせてもらってます。今、渉君と料理してるので、晩ご飯は任せてね」
私はぎこちない笑みを浮かべてそう言った。



