ふらつく足を床に押し付けるように歩く。
寒くて震えながら制服に着替えた。
顔はほんのり赤らんでいる。
そして目は心なしか潤んでいた。
鞄を手に持ち、そしてお弁当の入った紙袋を抱える。階段を転げ落ちないようにしっかりと手すりに捕まる。慎重に足を運び、一階へと着いた途端に気が緩んだ。
激しくなる息遣い。
やっぱり、この状態じゃ無理かな……。
そんな思いも頭を掠めたけど、どうしても河野に会いたかった。
その想いだけで靴を履く。
でも、やっぱりだめだった。
自分が思っている以上に体調が悪かったのだ。
玄関の鍵を開けそのドアノブを押そうとしたところで、しゃがみ込んだ。
一度しゃがみ込んだ身体は、もう全精力を使い果たしたかのように動いてくれなかった。
こんなところで息尽きるとか勘弁して。
もう一人の自分が必死に訴えて来る。
もう諦めて寝ていようと思ってもベッドに戻ることさえきつい。
必死に立ち上がり這いつくばるようにもう一度家の中に上がる。
そこで力尽きて、とりあえず少しそこで休もうと床に座り込んだ。
そこで、私の記憶はぷっつりと切れた。