次の日の朝、目が覚めても視界がはっきりしなかった。
頭の重さは昨晩より酷くなってる。それに、異常に寒い。


起きて、お弁当作らなきゃ。


鉛のように重い身体を無理やり起こす。

私にとって、河野と一緒にお弁当を食べて過ごせる昼休みは、もはやかけがえのないものになっていて。
その時間だけが、河野にとって自分が特別な存在なんだって強く思えた。

だから、どうしても学校に行きたい。

小さな子どもじゃあるまいし、多少の熱くらいどうってことない。

手すりに捕まりながら階段を降り、キッチンへと向かう。

昨晩はすぐに寝てしまったから、一からすべておかずを作らなきゃいけない。
少し簡単なもので許してもらおう。

そんなことを思いながらなんとか冷蔵庫を開ける。

いつもより重く感じる引き出しを開け、卵や野菜を取り出す。

強くなる頭痛で頭を激しく横に振った。
でもそんなことしても痛みは治まらない。

震える身体をなんとかやり過ごしながら具材をフライパンで炒める。

いつもより味気ないお弁当箱を見て、朦朧としながら蓋を閉めた。


いつもなら台所を片付けてから家を出るけど、そこまでの力は残っていなかった。調理器具や余った食材をそのままに、部屋へと戻った。