はあ……。
これでこの日何度目の溜息だろう。
無意識のうちに勝手に吐き出される溜息に、また溜息を付く。
この日も河野と中庭でお弁当を一緒に食べた。
でも、前の日とは違う雰囲気がどこか流れていた気がする。
結局、河野は私の変化には一切触れてこなかった。
それって、どう判断すればいいんだろう。
特に、何も感じてない?
それとも、不快に思ってる?
どちらなのか分からなくて、ずっともやもやしてる。
急に外見を全然違うものにしちゃうなんて、あまりにも短絡的過ぎたかな。
ぐるぐると一人自問自答を繰り返しながら、長い廊下を歩いていた。
ただ、一つ救われたのは河野が放課後図書室に誘ってくれたこと。
「俺の方が授業終わるの遅いから、先に行って勉強しとけ」
綺麗にお弁当を食べてくれた後に河野がそう言った。
前の日にした約束をちゃんと覚えていてくれたのだ。それだけが、今となっては私の心の支えだ。
大丈夫、大丈夫。私に嫌気なんてさしてない。
自問自答の次は必死に念じる。
慣れない想いに飲み込まれてしまわないように懸命にもがいている感じだ。
図書室へと続く渡り廊下に来ると、会いたくない人間に声を掛けられた。



