「まあ、別に私も何かポリシーがあって派手にしてたわけじゃないし。あの姿の私と河野じゃあまりにもちぐはぐ過ぎて目立つかなと思ってさ。ただそれだけだよ」
この二人に誤魔化しは通用しないことは分かっている。だからそう言った。
「愛だね。それって、河野に恥かかさないためってことでしょ?」
「本当に、河野のこと好きなんだね、あんた」
二人にしみじみそう言われると、照れくさくってしょうがない。
二人して母親のような目で見つめて来るものだから、つい素直な心境を零してしまう。
「うん。河野に迷惑かけたくない。それより、どうかな? 変じゃないかな。河野、引くかな」
親友だからこそ聞ける、本当の意見をもらいたかった。
「全然変じゃないよ。むしろ前よりかわいい。髪の色が濃くなったから、あんたの色白さが際立って、本当に清楚な女の子って感じだよ。あの無表情だって、心の中じゃドキドキだって」
「そ、そうかな」
外見が変わっただけなのに、なんだか自分がリセットされたような生まれ変われたような錯覚に陥りそうになる。
「でも、何より、好きな人のために頑張るあんたがかわいいよ」
真顔で薫がそんなことを言うものだから、「やめてよ」と思わず薫の肩を強めに叩いてしまった。



