素直の向こうがわ




翌日の朝、かなり気合の入ったお弁当を仕上げた。

デパ地下並みの出来に、自分でもご満悦だ。

以前みたいに7、8割の完成度なんて調整する必要ない。
もう、想いダダ漏れでもいいんだ。

そう思うと歯止めが効かなくてただのお昼のお弁当とは思えない代物になった。

そしてメールを河野に送る。


(お昼、中庭のベンチで待ち合わせね。先に行って待ってる)


教室から一緒に行くのはやっぱり少しためらってしまう。



十月の空は、気持ちがいいほどに青く澄んでいた。
過ごしやすい空気に包まれている。


それだからか、昼休みの中庭には結構生徒たちがいた。
それでも教室で二人で箸をつつくよりはましだろう。


四時間目の授業終了とともに教室を飛び出した。
隣を見れば河野がいるわけだけれども、そこは敢えて見ないようにして走って来た。


大きな木の下に、幹を囲むように置いてあるベンチ。そこの一つに席を取った。

河野が来るのを待つこの時間さえ、なんだか幸せでフワフワとした気持ちになる。

それに少しの緊張とで、全然落ち着かない。


どんな顔して待ってればいいかな。
あんまりニヤけ過ぎるのも恥ずかしいし……。


あれこれ考えても、勝手に顔は緩んで来る。


「一緒に行けばよかったのに」


河野の声がすぐ近くで聞こえた。


「うわっ」


一人ニヤニヤして違う世界に行ってしまっていたので、突然その姿が真横に現れて、かわいいとは程遠い声を上げてしまった。


「また、人を化け物みたいに」


少しむっとしている河野に、慌てて謝る。