「黙ったままでいて、私のこと笑ってたんですか?」
侮蔑するような目で見上げられて、私は咄嗟に「違う」と反論した。
「そんなことは絶対にない。私みたいなのがそんなこと言う必要もないって思ったからだよ」
「ということは、それを言う必要がある状況になったってことですか? 想いが通じたからって手のひら返したように言いに来たんですか? 随分勝手ですね」
彼女の鋭い言葉に何も言い返せない。全部、彼女の言う通りだ。
「昨日、河野先輩が私のところに来ました。でも、私は河野先輩に気持ちは伝えていません。だからまだはっきり振られたわけじゃないです」
黙ったままの私に彼女は言葉を続けた。
「だいたい、なんであなたなのか全然理解できません。あなたと河野先輩じゃ全然似合わないもの!」
感情を露わにした脇坂さんの言葉は、もう悲痛な叫びに変わっていた。



