次の日の朝。
いつもより少し緊張して学校へと向かう。
一体どんな顔して河野の顔を見ればいいんだろう。
恥ずかしすぎて絶対直視できない。
教室の扉の前まで来たものの、なかなか中に入れずにいた。
何度か深呼吸を繰り返していたら、後ろから声を掛けられた。
「おはよ、フミ。こんなところで突っ立って、何やってんの? 入らないの?」
真里菜に顔を覗かれ、思わず顔を伏せる。
「あ、いや、別に」
「どうしたの? 顔赤いけど、熱でもあるんじゃないの?」
「ないって」
これ以上こんなところで会話を続けていたら墓穴を掘りそうで、そそくさと自分の席へと向かう。
自分の席の隣に河野がいるのかと思うと、それだけで心臓が爆発しそうだ。
こんなんで授業中普通に座っていられるのだろうか。
明らかに硬い動きで自分の席に着き、そして勇気を振り絞って「おはよう」と声を掛ける。
こちらへと顔を向ける河野に、やっぱり心臓が激しく動いた。
河野がどんな表情でこっちを見たのかをろくに確認することも出来ずに、河野から視線を戻した。
いちいち緊張する自分に余計に動揺する。



