「だから嫌だって言ったのに!」
責めるように二人に詰めよった。
目の前の二人にぶつけたところでどうしようもないのに、沸々と込み上げて来る怒りをどうすることも出来ない。
「いや、だって……。もし私が引いて当てちゃったら、フミ怒るだろうなって思ってさ。自分で引いたなら諦めも付くでしょ?」
「何よそれ!」
結局、自分のことしか考えてないじゃないのよ。
「まあまあ、いいんじゃない。ここまでくれば何か縁でもあるんじゃないの? 仲良くしとけば?」
人の気も知らないで更に神経を逆なでするようなことを薫が言うから、私はもう掴みかかっていた。
「仲良く、なんて勝手なこと言わないでよ。そんなこと出来るわけないでしょ? 怒鳴られたの以外口きいたことなんてないんだから。あんな無表情、しかめっ面眼鏡とどうやったら仲良くなんて出来るのよ。ええ? ほら、答えてみなさいよ!」
薫の腕を掴みぶんぶんと揺さぶる。
自分でもよく分からないけど、どうしようもなく腹が立って次第に腕の力も声も大きくなっていた。
「ちょっと、フミ!」
「うるさい!」
「だから、フミってば!」
目の前の薫の顔が引きつっているのを見ていい気味だと思っていたら、その視線が私をすり抜けて違う方を見ていることに気が付いた。



