「来ないで。いいから放っておいて!」
もうどうやっても上手い弁解なんて見つからなくて、そう言うしかない。
どこかに隠れてしまいたいのに、隠れる場所もなくてうずくまった。
ただ、河野が立ち去ってくれるのを待って。
でも、容赦なくその足音は近付いて来る。
「答えるまで帰らない」
すぐ近くではっきりとした言葉が聞こえた。
すぐ傍に河野がいるということが私を苦しくさせる。
苦しくて押し潰されそうで逃げ出したいのにそれも出来ず、耐えられなくなった私は感情の昂ぶりのまま叫んでいた。
「好きだからだよ! 河野のことが好きだから――」
言ってしまって、自分の言ったことの重大さを知る。
見上げたその先の河野のが固まっていた。
私、今、何て――?
さっと自分から血の気が引いて行くのが分かる。



