素直の向こうがわ




「なんで、おまえがそんなこと俺に頼むの?」

「河野?」


思わず見つめたその目にも、怒りが滲んでいた。


「弁当のことといい、今と言い、おまえは一体なんのつもりなんだ? おまえに関係ないだろ」

「……」


その冷たく吐かれた言葉に、私は思わず俯いた。


『おまえに関係ないだろ』


その言葉がエンドレスリピートのように心の中で繰り返される。
理屈でどうこう考える前に、もう傷ついていた。

分かっていたこと。私が関係ないのも百も承知だった。

なのに、どうしてこんなに痛いのかな。

もうどんな言葉も発せられない。

何かを言わなきゃと、口を動かそうとするけれどそれに音が伴わない。