九月の下旬は、やっぱりもう夏ではなかった。
先ほどまであんなに明るかった空が、急に夕方へと向かい始める。
人気のない教室で、窓の外を見ながらじっと座っていた。
本当の理由をどうしても言えなくて、薫と真里菜には適当なことを言って先に帰ってもらった。
言えないということは、やはり自分でも少し迷いがあることなのかもしれない。
でも、その迷いを打ち消すためただひたすらに色が移り変わって行く空を見ていた。
オレンジ色の教室内が妙に自分の心を弱くする。
本当は逃げ出したくなる自分に向かい合いたくなくて、懸命に意識を逸らせた。
静かな廊下から一つの足音が近づいて来る。
私の身体に一瞬にして緊張が走った。
ひたすらに見続けていた空はもうオレンジ色を通り越して紫に近くなっていた。
その足音が教室の扉の前で止まり私は息をひそめる。
でも、その足音は止まったまますぐには中へと入って来なかった。
それを不思議に思い、思わずそちらに目をやった途端、扉が開いた。



