ハッと我に返ると、近くにいたクラスメイトがぎょっとした顔で私を見ていた。
教室の真ん中で泣く自分の姿を想像して頭を殴りたくなる。
私は乱暴に素早く目を擦り、薫の席に走った。
「ちょ、ちょっと。あんたの顔ヤバいんだけど」
真里菜もすぐに寄って来て早速私の顔を覗き込む。
「いくらなんでもそれは……。マスカラやら何やらが顔に滲んじゃってる……」
「え? や、やだ」
私はハンカチで顔を出来るだけ隠し、女子トイレへと走った。
鏡を見ると、お化けのなりそこないみたいな顔がそこに映っていた。
メイクが落ちることも気にせずに必死で顔を洗った。
でも、こすればこするほど、滑稽なほどに無様な顔になる。
メイク落としがないとちゃんと落とせないことに気付いて、途方に暮れた。
そんな私の背後から救いの声が聞こえた。
「ほら、これ使いな」
差し出されたのはクレンジング。そしてその声は真里菜だった。学校にクレンジングを持ってきているなんてさすがだ。
「ありがとう、助かります」
こんなところでクレンジングを手に入れることが出来たことに驚きつつも、私はしおらしくそう言ってメイクをすべて洗い流した。



