素直の向こうがわ




私たちは結局5時間目をサボってしまった。

授業をサボるなんて久しぶりのことだった。

1、2年の時はしょっちゅうだったけど。

泣いてしまって赤くなった目をなんとか洗い流して、6時間目が始まる前に教室に戻った。

河野の視界に入る前に荷物を取り、逃げるように教室を出た。
こんな顔、河野には見られたくない。



作るお弁当が一つ減った翌日の朝。

明らかに手抜き弁当になってしまった。

本当に、私って単純。
朝の河野への挨拶も、いつもよりぎこちないし。

あんなにも楽しかった恋がこんなにも変化してしまうなんて。
私の目に入る景色は全然違うものに変わってしまったような気がした。

お昼休みが近付くにつれ勝手に緊張が増す。

完全に蚊帳の外なのに、いつ、脇坂さんがお弁当を持ってくるのかと気になる自分が嫌で仕方がない。気にしないようにしていても、つい耳を澄ましてしまう。


4時間目が終わって5分も経たずに、その時はやって来た。
河野が何故か私の方を見て来た時だった。


「河野君、お客さんだよー。脇坂さんだって」


私が呼ばれたわけでもないのに肩がびくっと上がる。

河野は私に向けていた視線を廊下の方に動かし、そちらへと行ってしまった。