「何が馬鹿なのよ」
感情が昂ぶって声を荒げた。
「だいたいね、そんなおとなしくてか弱い子はあんたみたいなののところにわざわわざ乗り込んで来たりしないの。むしろ、出来ないよそんなこと」
「そうだよ。彼女かどうかなんて河野に聞けばいいじゃん。それをわざわざフミのところに確認に来て、好きだってことまであんたに教えるなんて、そんなのただ牽制するためだよ」
真里菜と薫が立て続けに騒ぎ出す。
あの子が本当はしたたかであろうがそうでなかろうが、関係ないのだ。
「勝手にお弁当箱まで渡すなんてどうかしてる――」
「しょうがないじゃん! 河野はあの子が好きなんだから」
私は気付くとそう叫んでいた。そしてその声は涙声になっていた。
「……え?」
「私見たんだもん。生徒会室であいつ、あの子の前でめちゃくちゃ笑ってたの。あんな顔見たことない。教室でなんて絶対見せない顔、あの子の前で見せてた。だから、河野が好きな子だったら私がしゃしゃり出るとこじゃないよ」
「フミ……」
「河野のこと好きだけど、好きだから、上手く行ってほしいと思うよ。あんな風にもっと笑ってほしいって思う」
そう言って涙を零す情けない私に、薫が肩を抱いてくれた。
それがまた私を泣かせる。



