素直の向こうがわ




河野のお弁当箱を彼女に手渡した時、私の胸にさらに抉るような痛みが走った。


「じゃあね」


やばい。また、なんか目から出てきそうになる。


「ありがとうございました。私、勇気出ました。頑張ります」


その溢れんばかりの笑顔に、なんとか笑顔で返せた。


うん。これでいい。河野が笑うなら、それでいい。


何かが零れ落ちないよう必死で笑顔を作る。顔の筋肉に逆らいながら教室へと向かった。


自分の教室の前まで行くと、薫と真里菜が廊下で心配そうに待っていた。
その顔を見たら、その筋肉に負けそうになる。