素直の向こうがわ



教壇にいるクラス委員のところに、私たち3人でグループを作ったことを報告に行った。


「分かった。じゃあ、組み合わせのくじ引きをするまで待ってて」

「おっけー」


私は自分の席には戻らずに、薫たちのところに行って組み合わせを待つことにした。


「遠足ってさ、大仏とか寺とか見るのかな。そんなのもう修学旅行で十分だよね」


どうせお堅いうちの学校のことだ。
「遠足は遊びじゃない。学びの一環だ」なんて言い出しそうだ。


「やっぱり海でしょ! 砂浜とか海を見渡せるカフェとか、最高にロマンチック。あー、むしろデートで行きたい」


私たちの中で唯一今彼氏のいる真里菜が、うっとりとした目になっている。

遠足の場所は、東京近郊の海沿いにある有名な観光地。
だけど、遠足の場所に選んでいるだけあって、史跡なんかも多くある場所だ。


「女友達と一緒で悪かったわね。そんなの今度彼と二人で行けばいいでしょ」

「別に、そんなつもりで言ったわけじゃないよ」


真里菜が慌てて弁解していた。そんな薫と真里菜のやり取りを黙って見つめる。

私は――。高1の時にいたきり、付き合っている人はいない。