素直の向こうがわ



「はい、出来ました!」

「出来た!」


渉君と声を合わせてハイタッチをした。

キャベツとにんじんで作ったコンソメスープに、ポテトサラダ。
そして茹でたブロッコリーとトマトを合わせてハンバーグを盛り付ける。
ハンバーグのソースは手早く私が作った。このソースは私も子供の頃から好きなレシピで少しばかり自信がある。

それらをダイニングテーブルに並べた。

追い出された形になった河野は、最初はテーブル周りを片付けていたけれどそれもすぐに終わったようで、リビングの片づけを始めていた。


「いい匂いするな」


待ってましたと言わんばかりに、私たちの声と同時にこちらへとやって来た。

そんな河野が少し可愛いと思ってしまう。
本当はこちらの様子が気になって仕方がなかったのかもしれない。


「すげーだろ。オレと姉ちゃんで全部やった。って言っても、本当はほとんど姉ちゃんだけど」


正直にそんなことを言う渉君が愛おしくなる。


「ううん。凄いよ、渉君。ジャガイモの皮も剥けたし、トマトも切れたし」

「うん!」


嬉しそうな表情にこちらまで嬉しくなる。


「あれ、二人分?」


テーブルから視線を上げた河野が私を見た。