港で声をかけ、家に泊めてくれるという彼女は早智子さんと名乗った。

暖炉のある家でミルクは気持ちよさそうに近くのソファーであくびをし丸まっていた。

「寒かったでしょう、あなた顔が真っ青だったわよ。」

「美味しいハーブティーがあるのどうかしら?」

綺羅は考えて、「すみません、頂きます」

そう答えた。

早智子さんはストーブの上にやかんを置きお湯を沸かし始めた。
お湯が沸くと、ポットに茶葉を入れハーブティーを入れてくれた。

「さぁ、どうぞ」
早智子さんはそういうと私の前にハーブティーを出してくれた。

「美味しい。。。」

綺羅は思わず呟いた。
それと同時にほっとして涙が溢れでてしまった。

早智子さんは何も聞かず、じっと私の様子を見ていた。

しばらくして綺羅が泣き止むと、早智子さんが口を開いた。

「あなた、私の知ってる男の子にひとみが良く似ているわ?」

綺羅は驚いた。

「その人の、名前とか、特徴とかわかりますか?」

「そうね、歳はあなたと同じくらい背は高くて細身で弱々しい感じだったかしら。」

綺羅は黙ってしまった。

「その子ここの港に来てあなたと同じ表情で海を眺めていたわ。気になって声をかけたの。そしてここで同じハーブティーを飲んで、流石にあなたみたいに泣かなかったけど、暗い表情をしていたわ」

「そうなんですか、その人はなにか話してましたか?」

「僕にはとても大事な人がいて、その人から逃げてきてしまったんです。とても傷つけてしまった。そう言っていたわ。」