ん?この聞き覚えのある、結構むかつくテノールボイスは……?



「邪魔だからどけよ、負け犬」




後ろを振り向くと、そこにいたのは案の定……渚がいた。



「どけっつってんだろ」



渚に見下され、美愛はビビって彩葉の後ろに隠れてしまった。




「うっさいわね!!負け犬じゃありません!!私には ‟水城柚葉” っていう名前があるんです!!」




渚はズボンのポケットに手を突っ込んで私を見下す。しばらく私の顔を見ていたかと思うと……



「ふっ」




鼻で笑った。




「あのねえ!!いくら自分の方がちょっと頭がいいからってなんなのその態度!!ムカつくのよ!!渚のバーカ!!」




私の大声は廊下に響き渡り、渚の眉間には深いしわが刻まれた。