答えろ、って言われても私の好きな人はキミですなんて言える訳もなく。
いつになく真剣な空の雰囲気を誤魔化すように笑ってみせた。
「私は……空が答えたら答えようかな」
「な、なんだよそれ」
「空はいるの?好きな子」
答えの分かりきった質問なのに、と自分でも思う。それでも空はきっといつもみたいに不機嫌な顔で、そんな奴はいないって答えて、
「いるよ」
壁にかかったアナログ時計の針が、カチリと指針を鳴らした。
「俺が好きな奴は、危なっかしくて目が離せない……そんな奴だ」
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