空白の時間ってこういうことなのかな?


私は言葉を失い、ただボールを抱きしめる腕に力をいれて神咲くんと男の子を見つめするだけ。






「練習の邪魔してごめん。でもいいもん見させてもらった、ありがと」






そんな時意外にも口を開いたのは神咲くんで、微かな笑みを浮かべ私たちを見たあと体育館からいなくなってしまった。




「え、翔?待ってよー!!」




その後に続いて元気な男の子も姿を消し、安堵した私はふぅーっと息を吐く。




「神咲って、笑うんだな」




ポンと私の頭に和麻の手が置かれ、顔を上げれば



「零、ずっと神咲のこと見てただろ笑」




なんて意地悪に笑う和麻がいて、



「は、そ、そんなわけ!」


「なくないだろ?」


「ーーっーー!かずまの馬鹿やろ!!」





案外図星だったせいか言い返せなくて悔しくなり和麻の手を払って距離を取る。





「今日の勝負は私の勝ちだから!帰りアイス忘れずに!」





なぜか落ち着かない私は和麻にそれだけ伝えてやっときた女バスの群れに向かって走り出す。








「落ち着かない奴」





そんな私の背後、そっと聞こえないように呟いた和麻。


どこか寂しそうな、悲しそうな表情を浮かべていたことを私は知る余地もなかった。