キーンコーンカーンコーン

「はい、じゃあホームルーム終了。各自、部活を頑張ること!以上‼︎」

「起立‼︎ 注目‥‥‥礼‼︎」


「「ありがとうございました‼︎」」


ホームルーム終了のチャイムが鳴り響き、委員長の号令とともに荷物をまとめ教室を飛び出す。


なんたってこれからバスケの時間だよ?

私が大好きなバスケ。
だから早く体育館に行って準備して、1番にボールを触る。


3時間という決められた時間だけじゃつまらない。
本当に物足りない。



「和麻!早く!」

「零、お前早すぎだろ」

「準備できたから、リング降ろしてくる」

「いや、だから早すぎだって!」



これが私の日課。


誰よりも先にきて、準備して和麻と一対一をする。
私はこの時間が本当に好き。


「今日はアイスね」

「はいはい、今日は負けないから」



言葉と同時にボールを渡す。


これが私たちにとっての始まりの合図。



さっきまで笑っていた和麻も、真剣な目つきへと変わりゆっくりとドリブルをつき始めた。


和麻がオフェンスで私がディフェンス。



何回、何十回としてきた一対一。
大半は私が勝つけど、勝つ喜びより負けた時の悔しさの方が大きい。
だから私は絶対負けない。




ダム‥ダム‥ダム‥‥キュッ‼︎



来るっ‼︎

直感で左に一歩踏み出すとそれは的中したらしく、私の体に和麻がぶつかってくる。

しかしこんなのは当たり前でお互い崩れることはない。


和麻はビハインドで切り返し今度は逆の方へと攻めてくる。

けれど負けない。


抜かれたと見せかけ、後ろからボールチェックをしボールを弾く。



「あっ」と言う和麻の言葉と同時に走り抜け一気にボールを奪う。



ディフェンス成功。



悔しそうにする和麻にボールを渡しながら私はオフェンスへと切り替える。


今度は私がオフェンス。



ダム‥ダム‥ダム‥。


身長差が15センチくらいある私たち。
到底リング下ならカットされてしまう。




だから、チビな私が身につけたもの。



ダム‥ダム‥ダム‼︎キュッ‼︎タンッ‼︎


_____スパッ_____‼︎



「嘘、だろ‥‥‥」




それこそがスリーポイント。



私の得意とするドリブルワークとフェイントを組み合わせ、そして引っかかった瞬間にバックステップをしスリーポイントを打つ。


これが新しく身につけた技。



「まだ完璧じゃないけど、今日はうまくいったみたい!」



にっこりと和麻に笑いかければ、どこからか拍手が聞こえてきてそちらへと目を移す。

そして息を飲む。


だって、そこにいたのは‥‥‥



「やばっ!今のシュートめっちゃ綺麗だった!


あの神咲くんの手を引いていた元気な男の子と、


「なぁ、翔、俺もあんな風にスパッとシュート決められるかな?」

「いや、無理だろ。」


無表情な男の子。
そう、あの神咲くんが体育館の扉のところに立って私を見ていたんだ。