ダメだ、ここでつかまれば…。 黎は…黎だけは…。 黎愛は必死で考えた。 何も浮かばない。 もう涙が出てきた。 ドアを開けた。 黎愛は部屋を見て驚いた。 「おばあ、様。」 「おじいさまあ。」 黎が安心したように祖母、祖父のもとにかけ寄ろうとした。 黎愛は手を引いて連れ戻した。 祖母の顔が少し歪んだ。 と思ったら元の顔、いや。 なにかをあきらめた様子だ。 手のひらを見せた。 手首を曲げ手のひらが見えないようにする。