「お。」 「反応したな。」 瑠唯と楓の声に黎ははっと我に返った。 黒い髪を靡かせて2人のほうへ振り向いた。 「黎、見ろよこれ。 掟のところにダイブ近いぞ。」 瑠唯はビンゴとでも言いたそうな声のトーンで言った。 楓はいつもより顔を明るくした。 「あそこかしら。」 東には日の当たった明るく綺麗な塔。 西には禍々しく暗く不気味な塔。 黎は西の塔を指さしていた。 東の海とは打って変わって 波が荒れ狂っていた。