楓は楓莉の手首を見て言った。 「痛くなかった?」 「…うん、大丈夫。」 「そう、ごめん。」 いつも優しく笑う楓の顔からは想像できないほど イラついているのが分かった…。 楓莉は優しく楓の髪の毛をなでた。 1本1本が細く柔らかい髪。 今の楓は細く壊れてしまいそうだ。 それまではよく口が達者で、 ころころと可愛い声をあげて笑うような 小さく無邪気な子どもだった。