「時は…早く過ぎ去り…」
「絆は脆く崩れる…」
「戦いの果てにあるのは…」
「喜びか…」
「悲しみか…」
カナルは歌っていた…。
十三番街の、ビル建設予定地…。
その真前の電柱の上に座って。
「また一つ…」
「存在が消える…」
太陽が沈みかけていた。
「…逃げたか、アルフ。」
「誰が逃げたというのかい、カナル。」
アルフの声を耳にし、カナルは電柱から道路を見下ろす。
「死神のレクイエム、か…。風流なことをするものだな。」
「ふふ…待ちくたびれたよ、アルフレッド・フィアラ…。」
スタッ…
カナルは道路に降り立ち、アルフと対峙する。
「そうかい…。」
「その瞳…まだ信じたいようだな、俺が弟だと。もう一人の“俺”とは違う、純粋なままの俺だと…」
「できればな…」
アルフの視線とカナルの視線が完全に合った。


