「たぶん…いや、絶対違うっすよ…。兄貴の弟だった奴とは。」
「ねえねえ、アルフ…?イリア、思ったんだけど、カナル君って統合失調症?だっけ。それじゃないの~?」
アルフは目を見張った。
「イリア…よく知っているんだな。その通り…カナルは多重人格の重症化したものともいえる、それなのだよ。」
「ま、待った!っつうことはですね…奴の中には、純粋なカナルってのもまだあるってことなんすよね…。兄貴…まさか…」
「…そのまさか、だよ。私は…自分の弟を…カナルを…いいあいつも悪いあいつも合わせて、消すつもりなのだよ。」
「兄貴…」
「アルフ…」
イリアもリアゼも、かける言葉が見つからなかった。
「………もう夜も更けてきたな。イリア、リアゼ。疲れてるだろうから、帰って寝た方がいいと思う。私は…明日に向けて今から鍛錬してくるから。」
「あたしも何か力に…」
「…行くぞ、ストーカー娘。」
「ストーカー言うな~!!…あっ、ちょっと…!何すんのよ!離しなさーい!!」
暴れるイリアの腕を引っ張って、リアゼは北へ歩いて行った。
一度だけアルフに礼をして、その後は振り返らずに……。


