「リアゼ…」
「兄貴、待っててください!この迷惑女は俺がどかし…」
「カナルは、“どっち”だったか?」
「へっ?のわっ!?」
ドタッ!
気を緩めた瞬間、イリアに蹴りを受け、尻餅をつくリアゼ。
「痛てて…。」
「ふーんだ!女の子に乱暴するから、天罰が下ったんだよー!」
そう言って、あっかんべーをするイリアは、とても死神には見えない。
「くそっ…あとで覚えてろよ…。あっ、兄貴。“どっち”って、カナルってのが逃げた方向のことっすか?」
「…唐突すぎたみたいだな。カナルについて少し話しておくか。」
「は、はいっす!」
「イリアちゃんも聞く~!」
イリアはアルフの背中から下り、ちょこんとその場に座った。
雲がぽよっと揺れた。
リアゼは、こいつと見つめ合いたくねえ、とイリアから1メートルほど離れた右隣に座った。
パフッと揺れる灰色雲。
アルフは二人の前に立ちすくし、話し始めた。


