「ほう…そりゃまたどういう了見でだ?」



「…私以外の者に、彼女…メルディを迎えさせたくはなかったということだ。…それではな。」



バサッ…バサッ…と黒い翼をはためかせ、アルフは下界へと飛び立つ。




「それが…あんたなりの彼女への愛ってやつか。」



シークはにやりと笑いながら、一人呟くのだった…。














下界の天気は晴天。
すすきを微かに揺らす程度の風が吹いている。




(忘れようとしていたことを…。思い出させてくれたな、シーク…。)



彼への怒りでもなく、彼女への哀しみでもない複雑な感情が込み上げてきた。
そのためか、アルフは一瞬悲しげに目を伏せる。

だが、すぐにいつものクールな表情を取り戻し、




(本日九人目のターゲットを迎えに行くとしよう…)



目標に向かい、飛ぶ速度を速めたのだった…。








彼が降り立ったのは、都心部にある中央総合病院。

何か病院の名前が書かれていたが、全く関係のないことなので、アルフの視界には入っていない。