スパーンと、昼間の草原に斬音が響いていた。
「うう…。」
人々の呻き声が、徐々に減っていく。
生き残れる者など居ない。
やがて全て…。
「ふふ…イリアって超ラッキー!飛行機の墜落現場でお仕事なんて!ノルマなんか、軽ーくクリアできちゃうしー。」
二本の大鎌で次々と人を斬っていたのは、疑う余地なくイリア・ザルメスその者であった。
「あーと五人っと!」
スパーン!ザシュ!!
「あー…楽すぎて退屈かもっ。アルフと一緒にお仕事できたら良いのになあ…。」
最後の一人まで斬り終え、イリアはつまらなそうに言った。
呻き声は完全に無くなっていた。
それは…生存者は一人も居ないということを示している。
(それにしても…あれは、人間の芸当じゃないよねっ。と、いうことは… もしかして例の“あいつ”なのかもっ!アルフ…気づいたかなっ。)
そんなことを考えながら、イリアは鎌の刃をハンカチで拭いていた。
白いレースのハンカチは、赤黒く染まっていった…。


