「それは運命…それは定め…」
レクイエムの中盤に歌声は差し掛かっていた。
だが、アルフの耳にもメルディの耳にもその声は入って来なかった。
「メルディ…なぜ、君は私をそこまで助けようとするのかい…?」
ポタッ…
一滴の水が、メルディの頬にかかった。
メルディは、まだ消え始めていない方の手で、アルフの髪を撫でた。
一回…二回…三回…
ゆっくりと…丁寧に…
「あなたを…寂しそうな…悲しげな…あなたの心を…救いたかったから…よ…」
顔に落ちる水の冷たさを感じ、自らも冷たい水を流しながら、メルディは小さく答えた。
「メルディ…」
「さよならは…言わないわ…。だって…また…きっと…巡り会えるから………」
言葉を言い終わり安心したのか、メルディはそのまま目を閉じた。


