辺りがシーンと静まった。
プログラムの最後…生贄の捧げが行われるのである。
「…どこの世界においても、レディファーストが重んじられる。…メルディアン・イーグルよ、前へ。」
シュル…
メルディを縛っていた縄が解かれた。
「…はい。」
自由の身となったのにも関わらず、メルディは素直に返事し、神社の中へと足を進める。
トンッ…
トンッ…
トンッ…
彼女の足音だけが、神社内と辺りに響き渡る。
「では…メルディアン・イーグルよ。コインを故意に逃がした罪でそなたを生贄とする。異存はないな?」
抑揚のない声でそう聞いたのは、その神社の神主。
黒い布で顔をすっぽり隠しているため、表情は窺えない。
メルディは、すぅと一つ息を吸い込んだ。
「異存はありませ…」
「いや…異存ありだ。」
不意に彼女の声をかき消した声があった。
そこにいる者全員が、声の方向を睨みつけるような表情で注目する。
「異存あり、だ。」
先ほどと同じ声が、もう一度繰り返した。


