そう…
イリアの容赦なき鎌によって、女の人は命を失ったのだ。
「ママー!!」
「おかーさん!?」
子供達が、母親に駆け寄り、体を揺する。
………母親の反応は無い。
腹部に二カ所斬り傷がある。
しかし、それは人間の目には見えない特殊な傷だった。
「嫌だー…ママー…」
「うえええーん!おかーさんが…」
ザワザワザワ。
泣き叫ぶ子供達。
通りかかった人達が、
「救急車を早く!」
「何があったの!?」
皆、ざわめき始める。
中には、電話をする人もいた。
「ふう。じゃ、次のお仕事行かなきゃ!」
イリアは、そんなことは全く気にしていない。
鎌の刃をハンカチで丹念に拭きながら、ふんふふーんと鼻歌を歌っている。


