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「父母のこと… 憎んでるか?」


「…なんで?」


「笑わなくなったから」



そんなことを聞かれるとは
思っていなかった彩華は、困った

自分が、笑っていないことすら

わかっていなかった




「桃香の為にと思ってのことだったが
2人とも、こんなふうになるとは
予想外だったみたいでさ
桃香が、笑ってくれたら
2人も笑ってくれるだろうから」



「2人も笑ってないの?」



「やっぱり… 気がついてなかったか」






夕餉




彩華は、父母をちらり



〝本当…笑ってない〟



頑張って、食事を完食して

「美味しかった~ご馳走様です!」


にこりと笑った



「まぁ!桃香!体調がいいのね!」


「良かった!食べたなぁ!!」



仕事柄、作り笑いは上手

2人が喜ぶ姿を見て、苦しんだ数カ月

2人も苦しんでいたのだと知った