「彩華太夫 芹沢はんが
ここに来て欲しいそうや」


彩華太夫を良く想わない者が
芹沢の名前を出し


昼間 人気のない森の小屋に呼び出した



〝なんで、こんな森に!?〟



地図を見ながら首を傾げた



小屋に向かう途中



「あら?彩華どこいくの?」


芹沢の愛人 梅とばったり会う



「芹沢さんから、ここに来て欲しいって…」


「こんな森に?」


「うん…まぁ行ってみる!またね!」







彩華と別れた梅が、今度は町で芹沢と会う







「芹沢はん! 彩華との約束は!?」


「何のことだ?」






梅の記憶を頼りに、森の小屋へ







芹沢と梅が、必死に走ったが…


すでに、襲われた後だった



梅が彩華の着物を拾い、体を隠す



「なんてことや… 酷いこと…
間に合わんと、ごめんな…ごめんな…」



彩華の体を起こし、梅は抱きしめ泣いた



ぼぅーっとしていた彩華だが

あんまり泣く梅に、なんだか申し訳ない

そんな、気持ちになった



「大丈夫だよ 命さえとられなきゃ大丈夫
元より、嫁にいく気もなかったから」



芹沢は、黙っていたが
怒りに拳を震わせていた



彩華に心を読まれないように

彩華を呼び出した者が誰か

体に触れて記憶を読み取った



〝千代松〟