伊東さんが


俺達に背を向け去って行く




「待てよ!伊東……殺してやる」





ゆらりと立ち上がる彩華の声色は

怒りに満ちていた




振り返り、伊東さんが微笑むと

俺達に自由が戻った




真っ先に彩華に駆け寄り止めた



「離せ!!一!!
あいつが平助を2度も殺したんだ!!」



「尚更だ!!!
お前までやられたら…俺は…
頼む… 行くな…」



彩華の体から力が抜けていく




「離して」


「行かないのだな?」


「もう追いつけない 離して」




彩華から手を離す




彩華の顔を覗くと俺は背筋が凍った



これほど冷たい目をみたのは初めてだった

表情のない顔

その口元についた血を拭おうと

手を伸ばす




「触らないで」







彩華は、脇腹に手を当てた




「次は、殺す」





あまりの変化に


俺達は、戸惑うばかりだった