夜が明けた



それでも、私に答えをくれなかった



きっと



私は、この人を一と同じように


〝平助〟と呼び捨てしてたはず






一が、少しでも私を想ってくれていたら

そんな願いを込めながら

屯所へ戻ると



土方さんや皆がお怒りの御様子



言いつけを破り、一平の世話になった事を
怒っているのね


「一晩、どこにいた」


違った


でも土方さんの怒りは、私に好都合だった



「平助のとこ」


それだけ言い、皆の反応を見た

予想以上の驚き様

中でも、一が1番驚いている



「探したんだぞ」

「すみませんでした」



「彩華… すまなかった」



一は、私に深く頭を下げた


「これ 返す」



受け取らないで!
と、願いながら
櫛を出した


「それは、平助から彩華に渡すはずの物
そのまま持っていてくれ」


私の勘違いだったんだ

一が、私を想ってくれてると

勝手に勘違いしたんだ


一 困ったよね

ただ渡すだけのつもりが

私が喜んで、言い出せなくなって

辛かったよね


「一」


一が、私を見る


「……」   言いたいことは、山ほどある


今、好きなのは一だけ
一緒に暮らしたいのも

全部一だけだよ

お願い


少しでもいいから…


私とやり直して…





「婚礼は、取り止めよう」





一の口から出たのは、私の気持ちと

違う選択だった