「男なら 一平  女なら 彩華
名前まで考えたけど
永井の両親に薬盛られて…
尚忠が支えてくれて
でも… まだ… 風の音や暗闇が怖くて
だけど… 恨みとかなくて
池田屋で人を斬った時も夢中だったから
土方さんに『信じてたんだぞ』って
言われても意味わからなかった
奉行所で、お父様の目も同じ目してたから
蒼井彩華と名乗ったの
私は、裏切ってしまった
もう…帰るとこなくなったって…
新選組でお世話になってるうちに
一と平助が遠い存在な気がして
勘違いかと…
幼なじみとか恋仲と思ってるのは
私だけなんだと思った…」


「馬鹿だな」


「うん 本当…
必死すぎて、また襲われて…
私…あの時
あの男を憎いと思ったの
私を虐めてた人達には
そんな感情もなかったのに
私は、とんでもない魔物になったと
自分が怖くなった
彩華でいることから逃げたのは
襲われたくないのもあったけど
桃香だった頃みたいに
晴太なら負けないかなって」



涙を拭い、笑って



「見た目だけ変わってもダメでした
へへっ 実際は、総司に甘えてて
総司が辛いのに… 私… ダメで…」


「ダメじゃねぇよ
俺は、おめぇに賭けてる
総司を救ってくれるのは、晴太だけ
彩華でも、桃香でもない
弟みたいな晴太だけだ」


「……俺!戻ります!総司が起きるかも!」


「ちょっと待て!例の件…
良い考え浮かばねぇから、相談を…」


「は?副長が浮かばねぇのに
俺が浮かぶか!?馬鹿か!
相談する相手を選べ!!」


「おっ… おめぇなぁ!!」


土方さんの声を無視して

部屋に戻ると


まだ寝ている総司の頬に手を添えた



「大丈夫!絶対に、治るからな!」



薄ら目を開けた総司が



「煩いよ… 寝てるのに…
クスッ 泣いたの?」


「総司が遊んでくれねぇからだぞ!」


「クスクス ごめんね
早く復帰しないといけないね」


「うん」



泣いたのバレて恥ずかしいし

総司が笑ったの久しぶりに見たので

また泣けてきたから

総司の布団に頭をつけた

総司の左手が、私の頭を撫でる



「僕は、まだ死ねないね
守りたい人が、増えたからね」





土方さんには、一生 頭が上がらない




おかげで強くなれそうだ