その夜




総司の咳がいつもより酷く、発熱した


「そばにいるからね!大丈夫だよ!」


意識が朦朧とする総司に声を掛け

手ぬぐいを乗せ換える

咳とともに血を吐く

山崎さんと着替えをさせ

総司の手を握る

私が握るといつも握り返してくる

総司の手が

今日は、熱く、力なく握り返してこない



「どうして…」



私が力を使おうとしても

なぜか 力が発動しなかった


「……ごめん」



悔しかった









数日もすると

総司の症状は、落ち着いた









「僕は…… 近藤さんを守れない」



総司の手を握る



「なに弱気になってんだよ」


「……わかるんだ」







あの



強い総司が




いつもにこにこと笑っている





総司が






左手で顔を覆い




泣いた










私の手を右手で握り


〝悔しい〟



そんな気持ちを吐き出すように









気がついた








私は、力を使えない

総司の気持ちを読めない