二条城






慶喜様の前に、加納と私が間をあけ座る


「蒼井彩華との婚礼を許して頂きたい」


「……」


こんなに真っ向勝負してくるとは…



「加納 彩華は、江戸にやったばかり
無理を言うな」


「ここに、いるではありませんか!!!」


「晴太は、彩華の兄
華奢で、顔立ちが似ておるが
女子ではない」


「そんな…
確かめさせて下さい!!」


「我の言うことが信用出来ぬと申すか?」


「!!! ……そういうわけでは」


「晴太」


「はい」


「彩華は、女子
髪をそれほどまでに切ることは、あり得ぬ
俺と3人で会った時
彩華は、実に可愛らしい娘だったし
晴太は、今と同じく短髪であった
あまりにもそっくりだからな…」


「俺は、新選組の入隊試験で
永倉組長に勝っております」


「作り話かもしれません!!!」


「全員の前で試合した」



加納が怯んだ

いけるかも!



「俺は、蒼井晴太
彩華に用があるなら、江戸に行け」









唇を噛み締め、俯く


頼むから! 納得して!!





「お騒がせして、申し訳ありませんでした」


「この話は、これで終わりだ
よいな?」






このまま私だけ
召し抱えの支度ということで
城に泊まることに





「慶喜様 ありがとうございます」



「礼にはおよばぬ
少し借りを返したまで」