【平助】




彩華を布団に寝かせて
枕元に御守り袋を置き

永井様が言った



「桃香が怖い夢をみないように」



眠る彩華の手を握り
彩華から目をそらさず

俺達に語りかけてきた



「もう一度
俺の命を桃にやる
一君 平助君
桃香を頼む」





「彩華が生きてくれるなら
全力で守ります」







しばらくして

目を覚ました彩華を永井様が説得するが


「いらない…」


永井様の申し出を拒んだ


彩華の髪をすくい頭を撫でた


「妹が欲しかったのに… ごめんね」


「髪は、伸びる
生きていたらな
桃香のこと俺が忘れないってわかったろ?
弟でもいい… 妹のがいいけど
家族に変わりない
父上と母上に、よい報告がしたい
俺は、長寿だ!
少しくらい命をやろうとも
80より先に死ぬことはない!」


「ふふっ なに?その自信… おかしぃ」


「だから 俺の願いを叶えてくれ
この世でただひとりの妹の為
役に立ちたいのだ!」


「……あ…に …うえ」




永井様に触れられても

彩華は、怯えなかった

永井様の言葉に、静かに涙を流しながら

再び眠ってしまった