ズキズキと頭痛がして

気怠く

熱っぽさを感じ

体調不良が続いた


「しばらく晴太を休ませるよ」


「一平 よろしくな!」



里帰りだということにしてもらい

置屋の女将に頼み

療養することにした


「新しく天皇様が即位してそうや」


療養先の奥さんが教えてくれた



〝命を削る力など使ってはならぬ
たとえ、父上が回復しても
其方が身を挺したとしれば悲しむ〟



私にそう言った方


どうしても、役に立ちたいとお願いし


〝これは、天命
逆らってはいかん
しかし… 願わくば
父上からの別れの言葉を聞きたい
ほんの少し時間をくれ〟



孝明天皇様も、即位された天子様も



私の事を気遣い

とても優しくしてくれた



肩に羽織をかけ

庭を眺め

御所での事を思い出していた




「体が冷えるから、中に入りなさい」

「はい …でも、もう少しだけ」

「少しやで」

「はい」





ひとりになると


空を仰ぐ


静かに涙を流した













「怖いよ…


助けて…」




このまま、ひとりで死ぬのかな…