【彩華】




原田さんがお子さんと遊んでいた

私の子も生きていたら

あのくらいかしら


千歳も…



寂しくなり、目をそらすと


ふと


我に返った



お酒のにおい


着物の重さ



私は……












酒瓶をひとつ持ち

見つからないように広間を抜けて

月明かりに照らされた庭がよく見える

廊下に立つと


私は、お酒をがぶがぶ流し込む


「独り占めか?」


酒瓶を奪われ、見ると

月明かりでハッキリと見える土方さんの顔


〝信じてたんだぞ…〟


私に言った人



「伊東さん…… 離脱の考えがあるようよ
ここから、仲間を引き抜くみたい」



「やっぱりな……」



土方さんは、苦手

私の心が読めるもの



「で?…おめぇは何のヤケ酒だ?」


「!!!」


土方さんが私を覗き込む


私の体が固まる


怖い



「疲れたなぁ……って……
私 先に休みますね……」



「大丈夫か?」


「ええ ご心配なく」