「あいつらのところに
行けばいいじゃねぇか」


「行くのは、いかんのどす」


「幼なじみはんやとはいえ
太夫は、行かれまへんのや」


「コイツなら、行きそうだけどな…
クククッ 新選組に乗り込んで来たときの
威勢で、いきゃあいいだろ クククッ」


「君菊 土方はんのどこがええの?
意地悪いやないの!」


「ふふふっ そういうとこもどす」


「へぇへぇ お邪魔にならんように
うちは、退かせてもらいますえ」


「はぁ?行ってこいよ!」


あっかんべぇーして、宴を抜けた





「姉はん!」





まさか、君菊が追いかけてくるなんて
思っていなかったから
振り返ることが出来なかった



「おい 返事くれぇしろよな」



土方様まで…




「姉はん…………大丈夫?」


私の前に回り込んだ君菊が

私の頬に手を触れ


〝姉はん…どないしたん???〟


涙を拭ってくれる



「らしくねぇんだよ…ばぁーか」



土方様の手が、私の肩に触れる


〝お前が辛そうにしてることくれぇ
お見通しだっつーの!〟


私こそ、貴方達の心の中を見てるのに



「羨ましくなっただけ…
それだけどす…
お二人とも、お戻りを…」


ニコッと笑って、2人を置き去る

多分、下手くそな笑顔だっただろうな