【一】





壬生寺に行けば

総司と遊ぶ、彩華がいる






恋仲では、ない






それなのに、仲むつまじい





総司が羨ましい




いつからだろうか




感情を出すのが苦手になったのは




「じゃ!僕、巡察行ってくるね!」


「いってらっしゃいませ!」


「気をつけてな」






総司を見送り

彩華と2人きり





「彩華」

「なぁに?」



「俺は、彩華を嫁にしたい」


「……」


「わかってる!言うな!!!
俺が言いたいのは…
もしも 彩華が誰かに恋心があるなら
あぁ 回りくどいな
平助が好きなら…だな
俺は、応援する!!!」



「一」



「平助かな…って
俺にはない、強さとか
優しさが、平助にはある
総司ほど、彩華を楽しませられないが
やっぱり、平助しかいないかなって」


「私は、3人がいいの」



「ずっと3人だ!
いや、子供とか出来て増えるかもしれぬ
だが、俺達は変わらない
彩華が、我慢したりするのは
嫌なんだ」


「一は、いつも私のこと心配してくれるね
ありがとう」



それだけで、この話に触れなかった





感情を出せなくなったのは

あの村で、ひとり取り残されたかもな




なんの一歩も踏み出せなかった