総長の妹がギャルな件。



長いモカ色の髪を揺らしてにこっと笑う彼女はパンダメイクなんかしてなければさぞかしおモテになった事だろう。

...とはいっても彼女はお人好しでギャルの格好なのも私に付き合ってだし。

話すとギャルっぽさなど一ミリも感じない、女の子らしい、可愛らしい子なのだ。

これが、いわゆるギャップ萌えというやつだろうか。

そんな性格正反対な私達には共通点が一つあったりする。

「どうしたのミナト?いつもより静かだね?」

...一応言っておくが、別に私は46時間賑やかな訳ではない。

それどころか、クラスでも割りと静かな方だ。ギャルだけど。

シズクが私以上に口下手なだけだ。

そう、何を隠そう。私とシズクの共通点とは口下手なところだ。

...この共通点があったからこそ仲良くなった、いや、仲良くなりたいと思ったのだろう、等と考えながら隣の心優しい友人に視線を送る。

私はいつだっておしとやかだけど?という意味を込めて。

シズクがごめんって、と軽く謝ってくるのを一瞥して歩く足を早める。