次の日。

なんとか。熱は下がった。

多少、頭痛があるけれど。

自転車壊れたし、しばらくは電車かぁ。

そう思いながら、制服に着替え、髪をクシでといて、鏡で変なところがないか確認してから家をでた。

んだけど……。

「うわぁ!?」

ドアを開けると、

朝から眩しい金髪。

えっと……。

春山……。

「な、なに、どうしたの……。?」

えぇ、怖い。

うらみかってないし、

大丈夫……。

「あぁ?後ろ乗れ」

春山は私に目配せして、めんどくさそうに答える。

ヘルメットが、二つ。

あった。

あれ、

前は一つしかなかったのに。

「ね、ねえ、春山、」

バイクの後ろに乗り込み、声をかける。

ヘルメットを受け取り、かぶる。

「ヘルメット、買ったの?」

おそるおそる聞くと、

ピクリ、春山の動きが止まった。

「そんなん、あぶねえだろ。考えろバカ。」

春山はチッと舌打ちしながら、ヘルメットをかぶる。

ぷっ。

かっこつけてるんだろーけど、

ぜーんぜんかっこよくない。

あははっ。

可愛いとこあるんじゃんか。

私が、春山のお腹に手を回すと、

バイクは走り出した。

たくさんの生徒をすりぬけ、

学校へ。

先生に見つかんないように、

裏のとこに、とめる。

着いた〜。

「ありがとね!」

「ん。」

春山は、私をじっと見つめた。

え。

な、なに。

……は?

「なによ、」

「昨日、なんで休んだ?」

春山は質問したくせに歩き出して、私もそれに駆け足でついていく。

変なヤツ!

「風邪だよ。熱が出たから……」

私は、ゴホンっと咳をして見せた。

「ふうん、無理すんなよ、」

春山はポン、と私のあたまに手を置いて、

ぐちゃあ……。

……げ。

こいつ、アタマぐちゃぐちゃにしやがった。

せっかく、女子力の低い私がクシでといてきた髪の毛なのに。

「なんか、いい匂いすんだな。」

春山は私の頭から手を離し、

その手をクンクンとかいだ。

「ば、ばかっ!なにかいでんの!変態!」

カーっと顔が熱くなる。

こいつ、こんなキャラだっけ?

「何焦ってんだよ。……んじゃ、友達呼んでるから行くな」

春山はニヤリと笑って、向こうへまったり歩いてく。

「あ、バイク、ありがとう!」

わたしが叫ぶと、春山はグルンっと勢いよく振り返る。

ん?

なあに?

急に振り返って……。

そして、春山はくちもとに人差し指をおいて、

シーっとした。

ん……?

あ!

バイク!

大きな声で、言っちゃあいけないのか。

先生にバレるから。

"ごめん"って言おうとして、

前を、春山のほうを向くと、

春山はすでに友達と喋っていた。

似たような、不良たち。

まぁ、いっか!

私は下駄箱に向かい、靴をはきかえる。

「あさかちゃん。おはよお。」

誰かがそう言ってクルリと振り返ると、

ニコニコと可愛らしく微笑む亜子ちゃんがいた。

あやから聞いたところ、春山狙い、だっけ?

まあ、わかんないけど。

「ねえ、あさかちゃんってさ、太陽くんと仲いいの?」

亜子ちゃんは、作り笑いでそういう。

……ちょっと、こわいかな。

「別に?」

わたしはそれだけ言って、そそくさとその場を離れる。

あからさまに作り笑いだった。

春山狙いってホントなのかな。

あーあ、これだから女子は怖いの。

はやく、元気いっぱい、あやに会いたいな。